ランドセル、1kg重くなる問題

コロナを奇貨に国がGIGAスクール構想を前倒し、
2020年度中に整備した児童生徒1人1台のタブレットですが、
世田谷区では無事、2月末に全校・全学年に配付が完了したようです
(※中3・小6をはじめ、上の学年から配り始めていました)

世田谷区では、
・iPad:第7世代 2019年 Wi-Fiモデル(MW752J/A)
・キーボードケース:Logicool社製 Rugged Combo3
を配付しました

添付が配付した実機です

ipad_2019autumn

【重さ】

・iPad:483g
・ケース:602g
毎日、原則 家庭で充電するとの指針ですが、
念の為これに充電器を合わせると、
毎日1.1kg超をランドセルやリュックサックに追加することとなります

 

【既にランドセルは重い】

2017年、大正大学人間学部 白土健 教授の調査によると、

結果は最高で9.7キロ、最も軽くても5.7キロあり、平均は約7.7キロだった。

と読売新聞が報じています
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20171214-OYT8T50015/

同記事でも、脱ゆとりの影響で教科書が重くなっていると報じていますが、

東海テレビのニュースOne(2018年11月)によると、
ゆとり教育が始まった2002年が合わせて1.34キロだったのに対し、いまは2.7キロと、倍になっています

引用:東海テレビ ニュースOne:16年で教科書の重さ『倍』…ついに教育委員会が“置き勉”のススメ 脱ゆとり教育で厚く重く
https://www.tokai-tv.com/newsone/corner/20181106.html

これだけでは国策により”ゆとり世代”にされた筆者の世代が馬鹿にされているように見えるので他の調査も引用すると、

週刊朝日オンラインの記事(2018年9月)によると

最も注目される重さは、40年前が約990グラム、現行は1790グラムで1.8倍も増えていた
(※1978年は1976年検定版・2018年は2014年検定版(2019年検定版の1つ前)を指すものと考えられます)

いずれにせよ、今の大人の世代が背負っていた感覚とは、異次元の重さを肩に背負わされているのが今の子ども達です

“置き勉”やっと解禁 教科書を記者が計測したら40年前より1.8倍の重さに
https://dot.asahi.com/wa/2018091000007.html

 

【スペースがない】

2018年、文部科学省から”置き勉”を公式に認める通知を出しました

文部科学省 児童生徒の携行品に係る配慮について より転載
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/keikohin/index.htm

置き勉を認めるのなら、認めればいいじゃないかというとそうでもないようです

 

①教室にスペースがない

世田谷区でも、既に複数の議員(自民:加藤議員/公明:諸星 前議員・高久議員)が
ランドセルが重い問題を指摘されていましたが検討から進まない理由は
・場所の確保が難しい
・扉/錠の設置に費用がかかる
とのことです

※区の言い分としては置く場所がないから”ランドセルじゃなくてもいいよ”とのことです
※※担任と相談しても、区議会での答弁=教育委員会の公式見解を知らないため
 リュックサックの利用を断られるケースが多いと思いますので、
 区議会の議事録を印刷してお持ちされるか、教育委員会に連絡されると
 スムーズに進むかと思われます
・2018年 教育政策部長 答弁
ランドセル以外のバックの使用につきましては、特に許可は必要としておりません
・2019年 教育長 答弁
通学に使用するかばんはランドセルと限定しておりません

また、別の機会にご紹介できればと思っていましたが、本来であればスマホを所有している中学生・共有タブレットのある家庭まで、
・アプリのインストール権限すらない
・WebサイトのブラウジングかYouTube閲覧/アップロード程度しかできない
2019年秋モデルのタブレット
を毎日持ち帰れというのもおかしな話で、

本当は下記のような、タブレット収納用のラックを設置できないかとも教育委員会と話していましたが、
教室にスペースがないため難しいとのことでした
(恐らく他にもセキュリティ(普通教室に転売リスクの高い物品がまとまって置いてあることによる
学校が襲われるリスク)の問題等もあるものと思われます)

参考:GIGAスクール構想対応モデルTablet Cart

②35人学級で、教室が足りない

政府は、現行の小学1年生のみ35人学級・2-6年生 40人学級を、
2025年度までに全学年 35人学級とすることを閣議決定し、今国会に改正案が提出されています
※ちなみに世田谷区も含む東京都は、2年生も既に35人学級のため3年生以降の35人対応を進めることとなります

今後、コンピューター室・パソコンルームはタブレット導入と共にスペースが空くため、
本来はこのスペースは少なくとも開放をして頂きたい反面、
(世田谷区小学校が直近で一括購入したタブレットは2015年で、購入から6年経ち、そろそろ買い替え時期に差し掛かります)

35人対応につき、世田谷区の立てたシミュレーションでは、
クラス数の増が見込まれている学校が、39校/全61小学校 中、更に13校では大規模改修が必要とされているため、
全校で、使われていない教室をロッカーにすることは難しいのが現実です。
※中学生の約半分が私立/国立/都立に進学するため、中学校の教室は空いています

 

【デジタル化しかない、でも当分移行しない】

タブレットの配付が完了した今、荷物を軽くするには、紙の教科書から早期のデジタル移行が求められます

一方で、各種報道にあるように少なくとも文科省の検討会議では、2024年度(あと4年後)には、完全デジタル移行しないことが決まりました

日本経済新聞:デジタル教科書、紙と併用へ 24年度に全面移行せず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG086HB0Y1A300C2000000/

文部科学省:デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議 中間まとめ
(教員の指導力にも言及されていますが、個人的にはデジタル教科書には、
テキスト情報+一部の資料映像・資料音声ではなく、日本一教えるのが上手い人の動画を見て、
それが公式テキストとなる未来を期待しています)

少なくとも、紙を背負わないで済む体制を望むのはもう少し時間がかかりそうです

 

【結論:カバンを軽くするか、置き勉するしかない?】

ここまで様々な可能性を探ったものの、
・ランドセルにこだわらず、カバンそのものの重量を見直す
・学校がなんと言おうと頑なに置き勉をする
程度しか、現状では子どもたちの肩の荷を軽くすることは難しいようです

担任がリュックサックを認めない、置き勉を認めないということも現場では頻発すると思われますが、
まずは世田谷区ではそうならないよう、教育委員会から一定の指針が出されるように進めていきます
(中学校については、空き教室があるケースが多いため、ロッカー設置の議論も進めたいと思います)

※もっとよい解決策へ、この文章を読んで頂いた皆様のお知恵を拝借できると嬉しいです

 

ちなみに私も昔を思い出すと、中学(区立)・高校(私立)時代は、部活で使っていた体育館のロッカー・倉庫や 生徒会で使っていた生徒会室に、私物を置いていたことを思い出しました

カテゴリー: ICT

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